マネックス証券のトレードステーション(EasyLanguage)には、さまざまなストラテジーが備わっています。
ストラテジーの自作が難しいという方向けにトレードステーションに初期から入っている主なストラテジーを紹介します。
各指標の詳しい説明は、長くなるのでここでは省きます。
これらを組み合わせたりすることで、自分専用のストラテジーを簡単につくれちゃいますよ!
紹介する内容は、目次に一覧で出ていますので、そちらを見てください。

目次
ATR Trailing LX or SX(ATRトレイリングストップ)
ATR(Average True Range)にトレイリングストップ注文を組み合わせたストラテジーです。
ATRは、今のトレンドの勢いの強さを表しています。
ATRが上昇→その相場が続いていくことを表します。
ATRが下降に転換→その相場が終わり逆向きの相場になる可能性がある。
これらの指標から、ATRが転換したときに注文を出します。
ATRの計算式は以下です。
ATR = n日間の平均TR
TR = (当日の高値-当日の安値)または、(当日の高値-前日の終値)または、(前日の終値-当日の安値)のうち、最も大きい値
一方、トレイリングストップは、逆指値を株価に合わせて修正していく方法です。
これにより、損切りライン(利食いライン)を引き上げて、できるだけ利益を得て売り抜けることができます。
例えば、100円で買った株でトレイリングストップとして、(高値-10)円で注文を出したとします。
株価が110円に上がると、トレイリングストップによる逆指値注文は(110-10=100)円となります。
これで、少なくとも±ゼロの取引にはなります。
ただ、少し下がってまた上がるという相場には対応できず、少し下がったところで売ってしまったら、結果的に損することもあります。
売り注文:買い建て後の高値ーATR×α
買い注文:買い建て後の安値+ATR×α
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
TRを平均する日数:n | 10 |
トレイリングストップで値を計算する際の倍率:α | 3 |
ここで言う、「Easylanguage 設定値」とは、プログラム上で「inputs文」で書かれている項目のことを示します。
したがって、プログラムのもとを変更すれば、ここの表に書かれているところ以外の内容も変更可能です。この内容は以降も同様ですので、ご注意ください。
Bollinger Bands LE or SE
ボリンジャーバンドを利用したストラテジーです。
n日の移動平均線に対して、n日の標準偏差σを足し引きしてできた線の中に、株価は収まるという統計学をもとにしたものです。
±σに収まる確率→約68.3%
±2σに収まる確率→約95.4%
±3σに収まる確率→約99.7%
したがって、-2σ(あるいは-3σ)を下値支持線、+2σ(あるいは+3σ)を上値抵抗線と考えて、それらを抜けると、それまでのトレンドからは統計学的に外れることになります。
そのため、そのときに、買い注文や売り注文を出せば、新しいトレンドの波に乗れるというわけです。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
移動平均線を算出する参照株価(Open,Close,High,Low) | Close |
標準偏差のラインを算出する参照株価(Open,Close,High,Low) | Close |
移動平均計算日数:n | 20 |
標準偏差の何倍を支持線・抵抗線とするか | 2 |
Kelther Channnel(ケルトナーチャネル)
ケルトナーチャネルは、移動平均線とATRを組み合わせた指標です。
移動平均線から、定数倍したATR分シフトした線から、株価が出ると上昇または下降局面に変わったと判断します。
移動平均線は、高値と安値と終値を使った平均線が使われることもありますが、トレードステーションでは、終値(高値・安値・始値に変更可能)のみを使った移動平均線です。
移動平均線(中央線)= 終値のn日平均
高値側にシフトした線 = 中央線+α×ATR
安値側にシフトした線 = 中央線-α×ATR
(ATRの説明は、上の方の、ATRの項目を見てください)
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
移動平均線を算出する参照株価(Open,Close,High,Low) | Close |
移動平均計算日数:n | 20 |
ATRの何倍シフトするか:α | 1.5 |
MACD
期間の異なる2つの終値指数平滑平均を用いて、売買シグナルを出すというものです。
指数平滑なので、直近の株価のウェイトを大きくしているため、トレンドに早く乗ることができます。
そのデメリットとしては、いわゆるダマシが多いことです。売買シグナルが出たと思ったら実は出ていないというものです。
通常、2つの終値指数平滑平均に用いる期間は、12日と26日です。期間が短いほうを基準線・長いほうを相対線と呼んだりします。
二つの平滑平均の差をMACDと呼んでいます。
このMACDとMACDのn日の指数移動平均を比較して、MACDが上振れれば、買いシグナルで、逆なら売りシグナルとなります。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
基準線の終値指数平滑平均期間 | 12 |
相対線の終値指数平滑平均期間 | 26 |
MACDの指数平滑平均期間 | 9 |
Momentum(モメンタム)
モメンタムとは、「当日の終値-n日前の終値」で算出されます。
トレードステーションでは、終値に限らず、始値なども参照できます。
相場の上昇の勢いが強いか弱いか、逆に、下降の勢いが強いか弱いかを判断する指標となっています。
モメンタムが、マイナスからプラスに転じると、買いサインが出たと判断し、その逆なら売りサインが出たと判断します。
また、モメンタムの値が大きいほど、勢いが強いという現れでもあります。
個人的には、何日前の株価を選ぶかによって大きく値は変わるという、「日数の選び方よっては見え方が大きく異なる」指標なので、参考にしにくいかなと思います。
何かと組み合わせるのは効果的かもしれません。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
モメンタムを算出する参照株価(Open,Close,High,Low) | Close |
何日前の株価と比較するか:n | 12 |
Parabolic(パラボリック)
SAR(Stop And Reverse)という計算値を使って売買シグナルを見極めます。
このSARは、加速因数と呼ぶAF(Acceleration Factor)と、EP(Extreme Point)と呼ぶ最大値(または最小値)を使って以下のように計算します。
SAR=前日のSAR+AF×(EP-前日のSAR)
EPは、買いシグナルのときはその間の最高値で、逆に、売りシグナルのときはその間の最安値となります。
このSARが、現在の株価よりも下にあるときは、買いポジションで、現在の株価よりも上にあるときは売りポジションを取ります。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
加速因数AFの増分 | 0.02 |
加速因数AFの最大値 | 0.2 |
RSI(相対力指数)
RSI(相対力指数)は、その株が買われ過ぎまたは、売られ過ぎのサインを判断する指標です。
RSIが70~80%以上になると買われ過ぎ、逆に、20~30%以下となると売られ過ぎと判断されます。
この指標を使うときは、逆張りを想定しているので、買われ過ぎのときは売り注文(空売り)を出して、売られ過ぎのときに買い注文(買い戻し)を出します。
計算式は以下です。
RSI= n日間の値上がり幅 ÷(n日間の値上がり幅+n日間の値下がり幅)×100
注意点としては、相場に勢いがある場合は、買われ過ぎのラインを越えていても、さらに買われ続けるので、当てにならないときもあります。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
値上がり幅・値下がり幅を計算する参照株価(Open,Close,High,Low) | Close |
値上がり幅・値下がり幅を計算する日数:n | 14 |
買われすぎのライン | 70(%) |
売られすぎのライン | 30(%) |
Stochastic Slow(ストキャスティクス スロウ)
ストキャスティクススロウは、RSIと同様に、株の買われ過ぎまたは、売られ過ぎを判断する指標です。
ストキャスティクススロウが70~80%以上なら買われ過ぎ、逆に、20~30%以下なら売られ過ぎと判断します。
ストキャスティクスには、スロウのほかにもファーストというのがあります。
一般的に、ストキャスティクススロウを、SLOW%Dと読んで、ストキャスティクスファーストには%Kと%Dの二種類が含まれています。
%Kと%Dの指標も、SLOW%Dと同様で、買われ過ぎと売られ過ぎを判断する指標となっています。
それぞれの計算式は以下です。
%K = (現在の終値-n日間の最安値)÷(n日間の最高値-n日間の最安値)×100
%D = m日間の(現在の終値-n日間の最安値)合計÷m日間の(n日間の最高値-n日間の最安値)×100
SLOW%D = 直近m日間の&Dの合計÷m×100
mは、通常3日で、EasyLanguageでも3日で固定されています。もちろん、プログラムを書き換えれば変更可能です。
【EasyLanguage 設定値】
項目 | 初期値 |
最安値・最高値を計算する期間:n | 14 |
買われすぎライン | 80% |
売られすぎライン | 20% |
まとめ
EasyLanguageに初めから組み込まれているストラテジーの内、有名どころを紹介しました。
基本的なストラテジーは組み込まれているので、先人たちが残してくれた、戦略をそのまま真似することができます。
システムトレードは、決められたとおりに取引をすることが可能です。
ここに挙げたストラテジーが必ず利益を生むとは言えませんが、バックテストなどで試してみるとよいのではないでしょうか。
