一種類のものにしか投資していない場合、それがダメになってしまったときのダメージがとても大きいです。
したがって、リスクを分散して、投資、つまり分散投資がおすすめです。
分散投資には大きく2種類あります。
- 投資対象の分散
- 投資タイミングの分散(ドルコスト平均法)
それでは、それぞれを見ていきましょう。
目次
投資対象の分散
以下の表を見てください。
日本株式 日本債券 外国株式 外国債券 短期金利 日本株式 1.000 -0.534 -0.436 -0.628 -0.419 日本債券 -0.534 1.000 0.853 0.905 0.909 外国株式 -0.436 0.853 1.000 0.823 0.697 外国債券 -0.628 0.905 0.823 1.000 0.746 短期金利 -0.419 0.909 0.697 0.746 1.000
(出典:『内藤忍の資産設計塾 あなたの人生目標をかなえる 新・資産三分法』著者:内藤忍 より。1985年から2003年の月次インデックスデータを基に作成されている。)
この表は、それぞれの値動きの相関係数を示しています。
数字がプラスの場合は、値動きが同じような動きをして(正の相関)、逆にマイナスの場合は、違う動きをします(負の相関)。
例えば、日本株式が値上がりしたときに、日本債券は日本株式との相関係数がマイナスなので、値下がりする傾向にあります。
これは、景気がいいときは堅実な債券よりも、株式に投資した方が利益を得やすいことから、たしかに理屈とあっています。
相関係数が0から1まで、数字が大きくなるほど、値動きが同じようになります(相関が強いと言います)。
そして、1の場合は全く同じ動きをするということになります。逆に、0から-1まで、数字が小さくなるほど、値動きが逆になります。
そして、-1の場合は、全く逆の動きになります。
ここで、勘違いしてほしくないのは、日本株が1上がったら、日本債券が0.534下がるというわけではありません。
そこそこ強い負の相関で、値動きをするというだけに過ぎません。したがって、日本株が上がったときに、日本債券が上がることだってあり得ます。
ただし、下がることの方が多いということです。
この表を参考にして、ポートフォリオを組めば、リスク分散することが可能ということになります。
つまり、負の相関のものを組み合わせれば、片方が調子悪くても、もう片方が調子良いことが多いので、全体で見たら、マイナスをカバーできます。これが、投資対象の分散です。
投資タイミングの分散
投資タイミング、つまり、時間の分散をすることで、投資のリスクを低減できます。有名な方法に、ドルコスト平均法があります。
ドルコスト平均法は、投資のタイミングを分散することで、より安く株式等を購入することができる方法です。
株式投資を行う上で有名な方法なので耳にされた方は多いと思います。
ここでは、その手法を解説したいと思います。長期投資される方は是非参考にしてください。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法は、普通に買うよりも結果的に安く株式等を購入することができる方法です。
具体的に言うと、毎月一定額の資金で株式等を購入していくことで、株式等の価格変動リスクを抑えられるというものです。
ちょっと難しいので、例をあげてみたいと思います。
たとえば、毎月1日に1000円分の投資信託を購入していくということです。
1万円分の投資信託がほしいと思って、一度に1万円分を買うのではなく、毎月1000円ずつ、10か月に渡って購入するということです。
そうすることで、投資信託の値段が高いときは少ししか買わず、安いときにたくさん買うというのが自然とできるのです。
投資信託であれば、積立で購入できるので、ドルコスト平均法による購入を簡単にできます。
ドルコスト平均法のメリット
ドルコスト平均法のメリットですが、価格変動のリスクを押さえられるというのは、先程示しました。
より安く買えるというものです。実際にどうなのか、例をあげて検証したいと思います。
ここでは、株式等の代わりにリンゴを使ってみます。例えば、リンゴの値段が以下のように上がったり下がったりしたとします。


【ケース1】
Aのとき(リンゴ一個100円)に5000円分購入する。
【ケース2】
A,B,C,D,Eのときに1000円分ずつ購入する。
ケース1の場合、購入できるリンゴは、
5000÷100=50個です。
ケース2の場合、購入できるリンゴは、
1000÷100+1000÷120+1000÷100+1000÷80+1000÷100=50.8個
したがって、ケース2の場合、リンゴ一個あたり、5000÷50.8=98.4円で購入できたことになります。
これがドルコスト平均法の効果です。一度にまとめて買うよりも、分散して買った方が結果的に安く買えていることがわかります。
では、以下のようなケースの場合はどうでしょう。全体的に下落相場のときです。
このときは特に計算しなくても直感的に、ドルコスト平均法による購入方法が得だと感じるでしょう。なぜなら、時期的に後に買った方が安値で買えるからです。


ドルコスト平均法のデメリット
メリットはわかっていただけたかと思いますが、もちろんデメリットもあります。
例えば、以下のようなケースを想定してみましょう。
先程とは逆で、上昇相場のときです。この場合、スタート地点で一気に購入した方が安くなることがわかると思います。
上昇相場が続く場合は、損をするということです。


ただ、上昇相場がわかっていれば、一気に買うのは当たり前ですよね。
その通りです。先が見えないからこそ、リスクがあるわけで、そのリスクを低減するためにドルコスト平均法が有効です。
日経平均株価で試した場合
実際に、日経平均株価で試した場合、どういった結果になるのか検証してみましょう。
以下のグラフは、2000年1月~2018年7月までの日経平均株価を、一月毎にプロットしたグラフです。初めに一気に購入した場合と、毎月1000円分を購入した場合とで、どう変わるでしょうか。


・初めに一気に購入した場合…
1000(円)×223(月分)÷18937(2000年1月での株価)=11.8
・毎月1000円分を購入した場合…17.7
上記の結果から、毎月投資した方が1.5倍以上お得であることがわかります。
この相場がずっと続くとは限らないので、今後も必ず得になるとは言えませんが、毎月分散して購入した方がお得なる可能性が高いと私は考えます。
ただし、投資を開始するタイミングが異なると結果はまるで変わってきます。
もしも、2000年から2018年までの最安値7454円のときに投資をスタートしたとしましょう。このときはどうなるか比較してみましょう。
【ケース1】一度に購入した場合…
1000(円)×113(月分)÷7454(株価)=15.2
【ケース2】毎月1000円購入した場合…8.8
となり、明らかに一気に買った方が安いという結果になりました(2倍近く離れています)。
日経平均株価のグラフを見てもらうとわかりますが、上昇トレンドとなっていることがわかります。
上昇トレンドのときは損をするということが実感できたかと思います。
ドルコスト平均法のまとめ
ドルコスト平均法は、時間を分散して購入することで、より安く購入しようとする方法です。
ただし、投資のタイミングによっては損をすることもわかりました。
ドルコスト平均法は、
- 上昇相場のとき…×
- 下落相場のとき…○
- 上がったり下がったりのとき…○
となります。
上昇相場がずっと続くことはさすがにないと私は考えますので、ドルコスト平均法は有効な方法であると考えます。
分散投資のまとめ
投資対象と時間を分散することで、投資のリスクを低減する方法を紹介しました。
投資をする上では、いかにリスクを下げるかが課題となっています。
ですが、投資対象の分散は、世界に投資する必要があり、初心者には難しいです。
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